聞きわけのない女の頬を・・・
二つ前の記事で、沢田研二のyou tube動画をはりつけたせいで、人さまをお待たせしすぎている原稿二つと格闘を続けるわたしの脳内で、ずっと「カラブランカ・ダンディ」が流れ続けている。
いや、問題はそんなことじゃなくて。
こんな歌詞のJ-POPを、うっとりと聞かせることのできるシンガーは現れるんだろうか。
ああ、「あんたの時代は」よかった。
70年代はまだ、人間の身体は臭くてよかった。
「男が女をはたく」という歌詞を、うっとりと聞けるようなコンテクストがあった。
煙草も、煙草くさい息も、かっこよさの象徴だった。
小学生とのき、クラスメートに、「いっちゃん」という男の子がいた。
ぜんそくだかアトピーだかの治療のために、ステロイド剤を大量に摂取しているという噂だった。
ムーンフェイスで、とっても太っていた。
そして、1~2か月に一度、掃除の時間や休み時間に、突然うお~~~~と言って机を真上に持ちあげて投げる。
みんなはそれを「はっきょう」と呼んで、恐れかつ面白がった。
このいっちゃんが、「カサブランカ・ダンディ」がヒットした後、どうしたことか「いっちゃんボギー」と呼ばれるようになった。
いっちゃんは、今思い出すとなかなか端正な顔立ちだったけれど、沢田研二には似ていなかった。
どうしてボギーなのかわからない。たぶん語感が、子供たちにとってはピタッと来たんだろう。
たぶん、クラップが「スプール!」と嬉しそうに発語するのと同じようなもんだ。
それにしても、今にしておもえば、いっちゃんが授業中に「はっきょう」をした記憶がない。
いっちゃんはいっちゃんなりに、「はっきょう」する場と時間を、ちゃんと選んでいたのかもしれない。
ある日のこと、いっちゃんは「はっきょう」をはじめた。
机を持ちあげながら、「おれはボギーじゃねえ!」と言っていたと思う。
「ボギー」というあだ名が気に入らなかったのか。よくわからない。
その時、クラスで一番スポーツができて、バスケットボールのヒーローで、一番女の子にもてた男の子が、いっちゃんに話しかけた。
いっちゃんが「はっきょう」をしたときには、かならずその子がいっちゃんをなだめていたような気がする。
その日その子はいっちゃんに言った。
「いっちゃん、ボギーじゃないもんな、バギーだもんな」
妙にフレンドリーなその一言は、どうしたことか、30年以上経つというのに、わたしの頭のなかにこびりついている。
中学にはいり、その男の子は「不良」になったと聞いた。
そのあと、人の親になったとも聞いた。
いっちゃんも、その男の子も、わたしとはたしか、中学まで一緒だった。
でも、中学では、いっちゃんは「はっきょう」をしなかった。
そして、中学で、その子がいっちゃんと仲良くしていたかどうかも、覚えていない。
「カサブランカ・ダンディ」をエンドレスで脳内リピートしながら、そんな遠い記憶もまた、脳裏を旋回する、年の瀬。
聞きわけのない女の頬をああ、こんな歌詞のJ-POPは、これから先の日本に、生まれるんだろうか。
ひとつ ふたつ はり倒して
背中を向いて煙草を吸えば
ほかになにもすることはない
ボギー ボギー
あんたの時代はよかった
男がピカピカの 気障でいられた
いや、問題はそんなことじゃなくて。
こんな歌詞のJ-POPを、うっとりと聞かせることのできるシンガーは現れるんだろうか。
ああ、「あんたの時代は」よかった。
70年代はまだ、人間の身体は臭くてよかった。
「男が女をはたく」という歌詞を、うっとりと聞けるようなコンテクストがあった。
煙草も、煙草くさい息も、かっこよさの象徴だった。
小学生とのき、クラスメートに、「いっちゃん」という男の子がいた。
ぜんそくだかアトピーだかの治療のために、ステロイド剤を大量に摂取しているという噂だった。
ムーンフェイスで、とっても太っていた。
そして、1~2か月に一度、掃除の時間や休み時間に、突然うお~~~~と言って机を真上に持ちあげて投げる。
みんなはそれを「はっきょう」と呼んで、恐れかつ面白がった。
このいっちゃんが、「カサブランカ・ダンディ」がヒットした後、どうしたことか「いっちゃんボギー」と呼ばれるようになった。
いっちゃんは、今思い出すとなかなか端正な顔立ちだったけれど、沢田研二には似ていなかった。
どうしてボギーなのかわからない。たぶん語感が、子供たちにとってはピタッと来たんだろう。
たぶん、クラップが「スプール!」と嬉しそうに発語するのと同じようなもんだ。
それにしても、今にしておもえば、いっちゃんが授業中に「はっきょう」をした記憶がない。
いっちゃんはいっちゃんなりに、「はっきょう」する場と時間を、ちゃんと選んでいたのかもしれない。
ある日のこと、いっちゃんは「はっきょう」をはじめた。
机を持ちあげながら、「おれはボギーじゃねえ!」と言っていたと思う。
「ボギー」というあだ名が気に入らなかったのか。よくわからない。
その時、クラスで一番スポーツができて、バスケットボールのヒーローで、一番女の子にもてた男の子が、いっちゃんに話しかけた。
いっちゃんが「はっきょう」をしたときには、かならずその子がいっちゃんをなだめていたような気がする。
その日その子はいっちゃんに言った。
「いっちゃん、ボギーじゃないもんな、バギーだもんな」
妙にフレンドリーなその一言は、どうしたことか、30年以上経つというのに、わたしの頭のなかにこびりついている。
中学にはいり、その男の子は「不良」になったと聞いた。
そのあと、人の親になったとも聞いた。
いっちゃんも、その男の子も、わたしとはたしか、中学まで一緒だった。
でも、中学では、いっちゃんは「はっきょう」をしなかった。
そして、中学で、その子がいっちゃんと仲良くしていたかどうかも、覚えていない。
「カサブランカ・ダンディ」をエンドレスで脳内リピートしながら、そんな遠い記憶もまた、脳裏を旋回する、年の瀬。
by apresthese40
| 2010-12-29 15:30
| よしなしごと

